Top >> 家具ログindex >> 第5回 2m30cm超サイズが日本のメーカーに敬遠される理由は?KOINOR(コイノール)の2m30cmのソファ | 住賓館(じゅうひんかん)家具ログ
やっと見つけたこのサイズ
「このサイズのソファをずっと探し続けていました!」。
岡山県からわざわざ瀬戸大橋を渡ってご来店くださったそのお客様は、店内に展示してあったコイノールのソファを見て感嘆の声をあげられました。
ドイツのコイノール社のソファと言えば、一生もののソファを探している人に人気のソファ。
最高級のイタリアのレザーを使い、アームや背もたれ、ヘッドレストに施されたモーション部分には高度なメカニズム技術と職人技で定評のあるドイツで製造、さらにヨーロッパ中から集まったデザイナーがデザインを担当。
『理想のソファを想像してごらん』と、言われて、品質、機能、デザインにおいて考えられる最高の組み合わせで作られているのですから、それも当然のこと。
この方も2年前にデパートでコイノールのソファを見て一目惚れしたそう。
しかし、希望していた2m30cm〜2m50cm幅のワイドタイプがない。
他のどこを探しても2mサイズのソファしかなかったそうです。
コイノールソファ(KOINOR)
2m30cm超サイズが日本のメーカーに敬遠される理由は?
ではなぜ、2m30cm〜50cmのワイドタイプのソファが日本では見つけられなかったのでしょうか。
もちろん、コイノール社には2m30cm以上のソファはあります。
けれど、日本では2mを超えるサイズは輸入メーカーから敬遠されます。
それは日本の住宅事情が大きく影響しています。
日本の場合、6畳の短い辺の長さが2m45cmで、マンションでも2m50cmまでならギリギリ入ります。
ところが、部屋に入ってもエレベータに入らない!どうしても部屋に入れたいならピアノのようにクレーンで吊って納めるしかありません。
そのためにメーカーでは、2mまでのソファしか仕入れないのです。
ところが、ここにメーカーとお客様のずれがあります。
実は中途半端な2mサイズはお客さんが一番嫌うサイズ。
特に一生ものの高級ソファを手に入れたいお客様にとっては、この小ぶりのジャパニーズサイズは何の魅力もありません。
他では嫌うことが住賓館で出来るのは
他では嫌う2m30cmサイズのソファを、なぜ住賓館が入荷したか。
それは、お客様に納品する際、サイドのレックをはずして部屋に入れ、部屋ですぐに再生できるテクニックを持っているから。
ニューヨークのマンションもエレベーターはそんなに大きくありませんが、部屋には大きなソファがあります。
それは大きなソファを購入してもバラして納品するテクニシャンがいるからです。
住賓館では、イタリアやドイツのソファに関しては全てエレベーターに乗せられるタイプ、つまりバラすことのできるタイプを入荷しています。
部屋に入りさえすれば、これほど日本の住宅事情にピッタリのソファはない!
エレベーターがネックとなったコイノールの幅サイズ(住賓館では問題ありませんが)。
しかし、一方でこれほど日本の住宅事情、特にマンションライフにピッタリのソファはありません。
アームや背もたれの角度が変えられたり、ヘッドレストが回転したりと言ったモーション機能に優れていることや適度な固さのクッションはもちろんですが、何よりも私が一番イイと考えるのは、日本人にピッタリの座面の高さ。
裸足で生活する日本人には床にしっかり足のつくソファが何よりもくつろげます。
それに天井高の低い日本のマンションでは、ロータイプの方が空間にゆとりもできるのでおすすめ。
特にコイノールのVOLARE(ボラーレ)シリーズのソファはバリエーションに富んでいるので、2シーター、3シーターの1本モノだけでなく、カウチタイプと組み合わせたりして、座るだけでなく、寝ころんでくつろぐ極上極楽スペースを作ることもできます。
コイノール(KOINOR)ソファー・イメージ
展示現品がいいか、新品の取り寄せがいいか?正直な買い得を的確に言える店でありたい!
コイノールのソファは革の厚さや色のバリエーションが豊富な事も特長の一つですが、私のおすすめはVOLARE(ボラーレ)のソファで、色はベージュ系、革は厚め。
日本の狭い空間には淡い色の方が圧迫感をあたえませんし、革が厚めの方がキズも目立ちません。
それにコイノールのソファはモーション機能があるため、薄い革だとモーション部分の革がどうしてもシワとなって目についてしまいます。
ドイツやイタリアの人は、モーションタイプのソファならシワができるのは当たり前との認識があり、シワができても気にしませんが、日本人感覚ではやはり気になります。
厚い皮ならボリュームと弾力性があるので、もとに戻ってシワも目立ちません。
ここで、冒頭のお客様の話に戻りますが、ご来店時、展示していたのはコイノールのVOLARE(ボラーレ)とVENETO(ビント)シリーズのソファ。
住賓館としてはVOLARE(ボラーレ)がおすすめですが、展示品は革が薄いタイプだったためにシワがありました。
そのためこのお客様に対して、「もしVOLARE(ボラーレ)をご希望の場合は、お取り寄せに4カ月かかりますが、2年間待ったことを思えば新品をおすすめします。
VENETO(ビント)の場合は厚革を使用しているためシワもなく、現品価格ですぐに納品できるので現品購入をおすすめします」と、申し上げました。
私たち住賓館のスタッフは、現品か取り寄せか、その時の買い得を正直にお話しして、その説明を的確にできる店でありたいと考えています。
それがゆくゆくは信用、信頼につながっていくと考えているからです。
ちなみに、このお客様は、ずっと探していたのがVENETO(ビント)のソファであったことから現品で購入されました。
後日談
この岡山のお客様がご購入になったすぐ後に、また県外からコイノールのワイドタイプのソファについての問い合わせがあり、近々ご来店の予定です。
うれしい一方で、今の家具業界がいかにお客様の意向やニーズとずれた所で商売をしているかを実感させられます。
住賓館としては、これからも売りやすいモノを集めたセレクトショップではなく、今の住宅事情やお客様の声にしっかりと耳を傾けながら、そのニーズにジャストフィットした家具をセレクトしてご提供していきます。
もちろん、プロとしての責任と情報力とこだわりを持って・・・。