2013年4月9日早朝、私は旅支度をして高松空港へと向かいました。 目的地はミラノ。 世界最大規模の国際家具見本市「ミラノサローネ」を視察するためです。 毎年4月に開催される「ミラノサローネ」(2013年は4月9日〜14日の6日間でした)には、イタリアを中心に世界中の家具メーカーやデザイナーが出展します。 世界最大規模と言うだけあって、広大な展示スペースに膨大なブースが建ち並び、ここに来れば家具インテリアの最先端やトレンド分析もできるため、家具のバイヤーだけでなく、住宅関連やメディア、デザインに関わるあらゆる業界人が集まります。 また、日によっては一般入場もできるため、世界中の家具好きや観光客も押しかけ、この時期、ミラノの街は、家具とデザインと人であふれます。 そこで今回は、3泊5日の日程で実際に「ミラノサローネ」に出かけて、見たこと、感じたこと、考えさせられたことをレポートします。 |
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今回は5.5倍!期間中跳ね上がる宿泊料 | ||
私が高松空港を出発したのは、4月9日の午前7時35分。 成田空港で乗り換え、日本を発ったのは同日午後1時過ぎ。 約12時間のフライトでイタリアのマルペンサ空港に到着したのは、現地時間で4月9日午後6時半ごろでした。 マルペンサ空港からホテルまではタクシーで約1時間。ホテルにチェックインし、シャワーを浴び、ホテル内のレストランで食事を済ませて部屋に戻ると、これまでの移動疲れもあって、眠気が・・・。 この日は翌日からの「ミラノサローネ」の会場巡りに備えて早めに就寝しました。 |
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ところで、私が「ミラノサローネ」を訪れるのは今回で4回目になります。 前回は2009年に訪れましたが、今回も驚いたのはホテルの宿泊料金です。 「ミラノサローネ」開催中は世界中から人が押し寄せるため、会場周辺やミラノ市内のホテルの宿泊料はどっと跳ね上がります。 前回は約2.5倍。今回宿泊したホテルは、「ミラノサローネ」の会場近くということもあり、通常9,800円の部屋が5万4000円に!5.5倍以上です。 ちなみにバスタブなしのシャワーのみの部屋。 会場まではホテル前からバスで10分足らずで着き、アクセスはよいのですが、それにしてもこの跳ね上がり方には驚かされました。 |
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東京ドーム4.3倍のスペースに2,650ブースも! | ||
ミラノでの初日の朝は5時に目覚めました。 (旅先でも日本での生活時間に合わせて行動したほうが、短期旅行の時には帰国後も楽なので) 6時半には一番乗りでホテルでモーニング。 「ミラノ・サローネ」では、見たいブースがたくさんあるので、昼食もままならないと思い、たっぷり食べて体調も万全です。 |
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「ミラノ・サローネ」は午前9時半開場なので、ホテル前を9時15分に出発するバスで会場入りしました。 まずはチケット売り場へ。「ミラノサローネ」は業界関係者対象の見本市なので、当日購入の場合、英語明記の名刺の提示が求められます。 名刺を差し出し、無事チケットを購入。英語やイタリア語が話せなくても名刺1枚でスムーズに購入できました。 なお、一般の方は基本的に入場日が制限されるとのことでしたが、実際にはチケットを購入して入場できていたようです。 それにしてもこの会場の広さ。 前回も見ているにも関わらず圧倒されました。 全見本市会場面積は53万平方メートル。出展面積は20万平方メートル以上で、東京ドームの約4.3倍。 ここに約2650のメーカーやデザインナーが出展しているのです。 全部見て回るには1週間あっても足りないくらいです。 「今日明日の2日間、見たいブースを絞って見て回ろう」と、計画したものの、実際はあちこち興味をひかれるブースが多く、時間はあっという間に過ぎました。 |
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ブラックウォールナットにバーズアイメープルミガキ仕様−。
「ミラノ・サローネ」注目の家具もいずれは住賓館へ |
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■RIVA1920(リーヴァ1920) | ||
メディアの注目を一番集めていたのがこの馬のオブジェ。 ウォールナット無垢材で作られた高さ3m近くある「馬」は、「平和」を表現しているとか。 木取りを始めとした高い技術と独創的なデザインとアイデアで、素晴らしいオブジェを作り上げていました。 また、ヴェネツィアの海で何年もの間「抗」として使われたオーク材、ブリッコレを使ったテーブルは、日本人にも好まれるテーブルだと思います。 |
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■miniforms(ミニフォームズ) | ||
ここのウォールナット材を使ったテーブルにはぜひ取り寄せたいと思わせるほど心ひかれました。 また、耳付き仕様でシンプルなデザインは日本人受けすると思います。 一本脚でぐらつきのない構造ながらデザインも魅力的です。 日本ではテーブル天板は2m10cmまでがほとんどですが、イタリアでは3mや3m20cmがメイン。 これだけウォールナット材の質がよく、2m70cm以上のサイズのテーブルができるのであれば、無理して国内で探すよりもレベルの高いテーブルをイタリアから取り寄せるのも一考です。 本格的に取り寄せを検討したいと考えています。 |
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■LinieDesigh(ラインデザイン) | ||
ギャベ以外の敷物を探していたところだったので、このラグが目につきました。 立体的な凸凹がユニークで触り心地もよく、楽しくなるラグです。 |
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■nomon(ノモン) | ||
おしゃれなインテリア雑貨で目に止まったのがこの時計です。 カラー使いやデザインにおしゃれゴコロがあります。 北欧モダンな空間とも相性がよく、お部屋のアクセントにもなると思います。 |
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■Flou(フルー) | ||
個人的に好きなベッドメーカー、Flou(フルー)のTadaoを発見! 背もたれから続くすのこ状のフレームはシンプルでセンスがあります。 |
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■Frag(フラッグ) | ||
今回一番楽しみにしていたのが、Frag(フラッグ)のブースです。 見るからに上質な本革のハイバックタイプのパーソナルチェアやモダンなオットマンを始め、どの家具も期待以上。特に新作の本革デスクには一目惚れしました。 ぜひ取り寄せて、住賓館のFrag(フラッグ)展示の一つに仲間入りさせたいデスクです。 |
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■COMPAR(コンパル) | ||
住賓館でもお馴染みのCOMPAR(コンパル)も、今回楽しみにしていたブースです。 ここでの注目は、大人気のリフトテーブル。 その新作は、これまでスチール製だった脚が天板と同色にコーティングされています。 今までスチール脚を嫌う方もいましたが、これならデザイン的にも満足できる仕上がりです。レベルアップしてさらなるヒットの予感がします。 |
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■zanotta(ザノッタ) | ||
zanotta(ザノッタ)は、住賓館と取引があるエスティック社(徳島県)が代理店を務めるイタリアのソファメーカー。 ここで注目を集めていたのが、イタリアの自動車メーカー・MASERATI(マセラティ)とのコラボで生まれたラウンジチェアです。 マセラティのスポーツカーを肘掛け椅子にすると、こうなるのですね。 |
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■KOINOR(コイノール) | ||
こちらも住賓館にも展示しているKOINOR(コイノール)のブース。 雄牛の厚革を使い、Uボート型のしっとりした本革ソファの高級路線を貫いているメーカーです。 ここのソファは座面が低いので日本人にも座りやすく、指名買いするお客様が多いのも特徴です。 |
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■DITRE ITALIA(ディトレイタリア) | ||
2011年にイタリア家具メーカー訪問を行った1つがこのDITRE ITALIA(ディトレイタリア)です。 布張りソファを得意とするメーカーで、毎年「ミラノサローネ」に出展しています。 今年は広いブースを確保して展示。ブースを広げることができるのは、メーカーに力がある証。 これからますます発展が期待されます。 |
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■バーズアイメープルミガキ仕様の家具たち | ||
住賓館でも力を入れているバーズアイメープルミガキ仕様の家具は、「ミラノサローネ」でも多く出品されていました。 モダン家具やカジュアル家具だけでなく、クラシックスタイルの家具も根強い人気があります。 丁寧な仕事が施された家具は、輝いています。輝いている家具は人を引きつけます。 |
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中国のパワーに世界情勢が見える | ||
今回「ミラノサローネ」の会場を巡っていて家具以上に気になったのが中国人の多さです。 バイヤーや個人視察はもちろん、旗を持った人に続く御一行様まで、とにかく中国人の姿が目につきました。 それはかつて日本に勢いがあった時代、世界を我が物顔で闊歩していた日本人のようです。 しかも彼らは英語もイタリア語も流暢に話しながら、メーカーやデザイナーと話をしているのです。 また、写真を撮る時も、以前なら家具のパーツやディテールのみを撮影していましたが、今回見ていると全体の雰囲気や演出などの空間部分にもカメラを向けていました。 世界の中の今の中国のパワーを「ミラノサローネ」でも垣間見たような気がしました。 |
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ブーススペースの変化が示す、メーカーの栄枯盛衰 | ||
今年2013年の「ミラノサローネ」には、期間中160カ国32万人以上の来場者がありました。 まさにお祭りのような6日間です。 しかし、「ミラノサローネ」はあくまで家具見本市。お祭りではなくビジネスの場なのです。 出展メーカーによっては、この期間中に年間売上の半分以上、中には8割の商談を成立させると言われます。 そのため熾烈な場所取り争いの末獲得したブースには、店舗1軒建てる位の資金と人材を投じ、演出を凝らしたブース作りを行います。 そしてここで成功し、力をつけたメーカーは、次回ブーススペースを広げて新たに勝負をかけます。 反対に弱ったメーカーはブーススペースを縮小するしかありません。 以前は5倍のブーススペースを持っていたのに、今回は1コーナーのみだったり、姿を消してしまうメーカーもあります。 以前は小さなコーナーで展示していた町工場が、今は広いブースを獲得して商談を行なっているケースもあります。 すべてが当てはまるわけではありませんが、ブーススペースの変化でメーカーの栄枯盛衰が見えることも。 賑わう会場の中で、そんなことも考えていました。 |
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これからもつながりを大切にしたい 最終日にBROGIATO(ブロジャート)の社長がホテルに。 |
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「ミラノサローネ」会場近くのホテルに2泊し、2日間会場を巡った後、帰りの飛行機が飛び立つリナーテ空港近くのホテルへ移動することに。 「まだまだ見たいブースもあるのに」と後ろ髪をひかれつつも会場を後にしました。 すると、移動したホテルで思いがけない訪問を受けました。 イタリア家具の産地・ヴェローナにあるBROGIATO(ブロジャート)社の社長です。 BROGIATO(ブロジャート)はクラシック家具をすべて丁寧な手作業で作り続けているメーカーです。 |
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昨年夏にオーダーした猫脚デザインのダイニングセットは、ホワイトクラック加工も
美しく、絵柄も彫刻もすべて手作業で仕上げられた素晴らしい家具でした。 もちろんビジネスの話でしたが、メーカーのトップが、取引はあるものの日本の地方から来た私を訪ねてくれたのです。 「ぜひ会社へも」とのお誘いをいただきましたが、翌日は帰国するため時間がなく、今回は断念しましたが、次回のイタリア訪問ではぜひお邪魔したいと思っています。 こうしたつながりを大切に積み重ねることで、取引メーカーとの信頼も深まり、素晴らしい家具をお客様に提供することができます。 思いがけない訪問は、次への期待とお客様への新たな提案につながる機会となりました。 こうして翌日、リナーテ空港を飛び立ち、ローマ経由で関西空港へ。 そこから新大阪に出て、新幹線で帰途へ。3泊5日の旅を終えました。 今回の「ミラノサローネ」では、家具インテリアの最先端に触れ、ディスプレイやビジネスのあり方についても学び、多くの収穫がありました。 今回見聞したことを今後の住賓館にしっかり反映させたいと思います。 これからの住賓館にどうぞご期待ください。 |
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